人月の違和感

「このシステムの開発規模、どんくらい?」
「うーん、20人月くらいかなあ」

いわゆるIT業界に足を踏み入れてから、もう幾年と経つけれども、いまだに受容できない妙な文化が多い。はじめこそ、「そんなもんかな?」と長いものに巻かれていたけど、最近は「やっぱり変でしょ」と反発モード。

特に違和感のあるのが、「人月」という単位。

システム開発などの工数、仕事量を示す単位で、「人数×時間(月)」で表される。プロジェクトの大きさを表現する場合や、1人当たりの費用月額(人月単価)を掛け合わせてシステム開発の費用算定/見積もりに利用される。

人月は、極端なことを言うと、「そこに人がいれば、仕事の質に関わらずお金が入る」仕組み。ビジネスマンじゃなく、サラリーマンなルール。20人月の仕事を、生産性を上げて10人月でこなしても、それは10人月のお金にしかならないケースもありえる。バイトの時給制か、とツッコミたくなる。

素晴らしいアイデアで、1億の価値があっても、1人月だったら60万。
商品価値は30万円でも、1人月だったら60万。

できあがるモノの価値や、マーケットと離れたところで、勝手わがままに見積もられる人月金額というのは、スゲーうさんくさいと思う。

もちろん使える点もある。

正確な売上予測が立てられる。新人SEや低スキルSEにとって、格好の隠れ蓑になる。顧客との商談で、価格設定の言い訳に使える。

「人月問題」として、これまで各所で問題視され、議論されているものの、一向にこの文化は衰えない。EVMなどの代替案も挙げられるけど、その有効性にまだまだ疑問が残っている。何より、この業界で長年やってきたプレイヤーにとって、人月という商習慣が変わることは、致命傷になる可能性もあるのだから、仕方ない。

結局、この文化を変えるためには、人月からスムーズに移行でき、なおかつ彼らが納得できるような具体的な策を提示しなければいけないんだろう。もしくは、彼らが使い物にならなくなるくらいのパラダイムシフトをするか。

さて、どう動こうかしらん。

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